2024年元旦。一年ぶりの休暇でフクロウナギと見間違えるほど際限なく雑煮を飲み込む筆者を正気に戻したあのニュースは未だ鮮明に記憶している。
能登半島地震から1年以上経つ能登で、産声を上げてから半世紀にわたり地域に密着してきた老舗スーパーマーケット「どんたく」が、希少な海産物や伝統食材、生産者の想いが詰まった逸品を全国に向けて発信するオンラインストア「GYUTTO NOTOTO」を立ち上げた。売上の1%を被災地復興に充て、地域経済の活性化と文化の継承を目指す。
質の高さで知られる能登の食文化は、少量での手作りを守る生産者が多く、近年の震災や洪水の被害により流通を拡大しにくい現状があるそうだ。
全国の消費者が「能登の美味しさ」を日常的に楽しめるよう「GYUTTO NOTOTO」に並ぶ商品から、味わってみたいもの、あげたくなるもの、もらったら“ぎゅっと”くるものの3類に分けて美味しさを取り上げる。
味わってみたいぎゅっと能登

イカキングブレンド コーヒーバッグ
¥1,500(税込)
GYUTTO NOTOTOより
能登半島地震で被災した方々が過ごす体育館や公民館などの避難所で、実際に振る舞われた「ふるまいコーヒー」から誕生した特別なブレンド。その名も「イカキングブレンド」だ。
「イカの駅つくモール」に生息する「イカキング」は有名烏賊であるためここでは詳しい説明を割愛するが、巨大なスルメイカのオブジェである。名前と大きさからしてダイオウイカだと思い込んでいたが、よく考えて直訳すれば「イカダイオウ」となりダイオウイカとは明らかに別種である。
さておき実はこちらの「イカキングブレンド」、実際の避難所では「ひなんじょブレンド」というユニークな名で被災者に振る舞われていたそうだ。暗い雰囲気になりがちな避難所生活で些細なことでも楽しみに変える工夫が伺える。

ひなんじょコーヒーが振る舞われている避難所
左の方の耳に深海魚のような生物が寄生しているように見える
GYUTTO NOTOTOより
黒いコーヒーだけにイカ墨がブレンドされたブラックハーモニー、というわけではない。特筆すべきは、このコーヒーにカフェインレス豆を50%も配合しているということだ。
被災地ではトイレ問題が避けられない。利尿作用があるとされるカフェインの量を抑えてあるので、コーヒーを飲まないと落ち着かない方にとっては打ってつけのコーヒーだろう。カフェイン耐性の低い方やお子さまにも親しみやすいので、やさしさと満足感の両立を目指したという想いも一緒に飲めば、能登から遠く離れたこの地からも少しは避難所での暮らしぶりを想像できるだろうか。
また、「イカキングコーヒー 濃いめ味」の方には能登沖で採取した海洋深層水から作られた塩を少量加えてあるという。深海といえば、「しんかい6500」のような有人潜水船の密閉空間でもトイレの問題があり、「イカキングコーヒー」なら長時間の潜航でも比較的飲みやすいのではないかと想いを馳せた。
あげたくなるぎゅっと能登

イカ墨さきいか 110g
¥1,080(税込)
GYUTTO NOTOTOより
能登の玄関口・道の駅「食祭市場」では、1週間に100個を売り上げるほどの大人気おつまみで、石川県の地酒はもちろん、ビールとの相性も抜群だそうだ。
パッケージの真っ黒なスルメイカのイラストが内容を表すだけでなく、その愛らしさから親しい人にあげて黒イカを話題にし、その可愛さを共有したくなってくる。黒イカのとなりの能登半島のイラストも素敵よね、と。

暗黒界の食べものに見えるのに美味しそう
GYUTTO NOTOTOより
見るからに噛めば噛むほどイカ墨のまろやかな味わいが深まりそうで唾液腺が痛む。一度食べるとクセになる味わいでリピーターも多いそうだが、あげた人から「また買っといて」と言われないように購入先もセットで知らせておこう。
もらったらぎゅっとくるぎゅっと能登

育てる塩麴 わじまの海塩
¥710(税込)
GYUTTO NOTOTOより
黒いものが続いたので白いものも。白と言えば米と塩、あとはシロクマである。
能登地域は、古くから日本酒や魚醤「いしる」など多彩な発酵食品が受け継がれる「発酵王国」として知られている。能登・輪島の海塩を使った「GYUTTO NOTOTO」オリジナル商品の「育てる塩麹」は、発酵の原点である米と塩を原料に、麹菌を育てて食すところまでを家庭で手軽に体験して楽しめる、言わば麹菌という微生物を飼育する「コウジリウム」である。
シロクマのパッケージがアクアリウムでいうところの水槽にあたり、中で麹菌を飼育して増殖させる。麹菌の姿は小さすぎて目には見えないが、米は見える。天気を予測するストームグラス内の白い物質の変化を観察するように、水槽内の米を観察して発酵している様子を楽しめるのではないだろうか。

「育てる塩麴」が発酵している様子。麹菌も増えるが日々の楽しみも増えそうだ
GYUTTO NOTOTOより
もらったら嬉しい「育てる塩麹」は肉や魚の下味にもぴったりだそうだ。日本酒には白いものが合うと聞く。ぜひ「GYUTTO NOTOTO」で販売されている地酒と塩麹料理をいただきながら、能登の豊かな風土と伝統を味わってみたい。
能登へ美味しく復興支援
のどぐろ・ふぐ・かに・えび・能登かき・加賀野菜・日本酒など、能登の食文化は質の高さで知られている。
もし能登への復興支援を何かしらの形でしたいと思っていたら、オンラインストア「GYUTTO NOTOTO」から美味しさと楽しさを取り寄せてみてはいかがだろうか。
リンク
株式会社どんたく:https://www.dontaku.co.jp/
GYUTTO NOTOTO:https://www.gyuttonototo.com
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